ブルガリア情報 言語・書籍・旅行など

ブルガリア語学習者である管理人が、ブルガリア情報をまとめます。言語への関心が強いので、文学の私訳を作ったりもします。

ブルガリアについて知るための参考文献(日本語)2

一般書でブルガリアに関するものが集まってきたので、紹介します。

 

【一般】

馬路泰蔵・馬路明子(2012)『ミルクを食べる 肉を食べる ーブルガリア食文化ノート』、風媒社

www.fubaisha.com

栄養学の権威である著者二名が、ブルガリアを視察した際に見た現地の食生活について綴ったエッセイ。タイトルの通り、特に乳製品と肉製品については料理名から科学的なデータに至るまで、詳細に記述されています。各地の村々を訪問して生産者から聞いた話や、現地の習俗についての描写はとても面白いです。豚の解体が手順ごとに写真に収められており、圧巻です。

 

ヴィトルト・シャブウォフスキ(芝田文乃訳)(2021)『踊る熊たち 冷戦後の体制転換にもがく人々』、白水社

www.hakusuisha.co.jp

社会主義時代に調教されて見世物にされた「踊る熊」は、社会主義体制の崩壊と共に療養のための施設に入れられ、自由を与えられるが、飼い殺しにされていた頃の習慣がなくならず、自由を享受しきれないー。この悲劇的な熊について描いたルポのようですが、実は同じことが人間にも言える、というのが第一章と第二章で全く同じ構成で描かれ、重みがあります。

 

ツヴェタン・トドロフ(小野潮訳)『善のはかなさ ブルガリアにおけるユダヤ人救出』、新評論

www.shinhyoron.co.jp

第二次世界大戦中、ブルガリアでもユダヤ人迫害が起こったが、国会議員43名の署名を中心に各方面から嘆願書が提出されたことにより、ブルガリアでの迫害の規模は小さく済みました。「善」を実現させるためには何が必要なのかを、収録された実際の嘆願書で感じることができます。